原発の発電コストは、本当に安いのか…!? [原発]
原発推進(擁護)派の方は、原発の発電コストは安いと言いますが、これは、本当なのでしょうか?
アメリカのEIA2009年版の資料を読むと、
・太陽光 $396.1/MWh
・太陽熱 $256.6/MWh
・風力 $149.3/MWh
・水力 $119.9/MWh
・原子力 $119.0/MWh
・地熱 $115.7/MWh
・バイオマス $111.0/MWh
・石炭 $100.4/MWh
・天然ガス $79.3/MWh
発電コストが一番高いのは、なんと燃料代が要らないはずの太陽光発電($396.1/MWh)なのです。しかも、この値はネバダ砂漠のような太陽光の稼働率が高い場所が沢山ある米国の値です。高い稼働率が望めない日本では、この1.5倍から2倍程度になる可能性が高いと思います。
一番発電コストが低いのは、やっぱり天然ガス($79.3/MWh)ですね。太陽光発電($396.1/MWh)に比べると、約五分の一で済むのです。
さて、問題の原子力($119.0/MWh)の発電コストは、たしかに太陽光($396.1/MWh)や風力($149.3/MWh)に比べたら安いと言えます。しかし、天然ガス($79.3/MWh)にくらべたら、約1.5倍も高いのです。
過去記事で、原子力発電は、最新の天然ガス火力発電に比べて温排水を三倍も出すので熱効率はよくないと書きました。そのうえ、発電コストを比較しても、原発は、最新の天然ガス火力発電に比べて1.5倍も高いのです。
原発は、エコロジーでもなければ、エコノミーでもないというのは数字をみれば明らかなのです。こんな物がエコだなんて悪い冗談でしかありません。
原発の代替として、一番ふさわしいのは、いまのところ、熱効率と経済効率の両面から見る限り、天然ガス火力発電しかないのです。
原発($119.0/MWh)を太陽光発電($396.1/MWh)で代替するなんて、経済的には自殺行為に等しいと思います。そんな馬鹿げたことを考えるのは、太陽光発電パネルのメーカーから献金を受けた、売国政治家くらいではないかと… 菅さんが、太陽光発電パネルを1000万戸に設置すると言ったとか。日本経済にとどめを刺したいのでしょうか。勘弁して欲しいと思います。
どうしても、自然エネルギーにこだわるのであれば、せめて、風さえあれば一日24時間発電が可能な風力($149.3/MWh)にすべきでしょう。でも、帆船がなぜ汽船に置き換わってしまったのかを考えれば、現実的な選択ではないと思います。時間をかければ、地熱($115.7/MWh)も有望なのですが、なぜか日本では不人気ですね…
どちらにしても、原発の発電コストが、他の発電方式比べて最も安いというのは嘘のようです。
将来的に発生する、核燃料の再処理費用や、核分裂生成物などの廃棄コスト、事故が起きた場合の賠償費用まで考えたら、経済的なメリットは全くと言っていいほどないと思います。
メリットがあるのは、原発を喰い物にしている産官学の共同体と、それに操られている政治家くらいのものでしょう。
将来的に、石油や石炭、天然ガスなどのエネルギー資源が枯渇する可能性がないとは言えません。その場合、危険な原子力をなんとか改良しつつ、いまの文明社会を存続させるのか。あるいは、産業革命前の生活(人口)にもどる覚悟を決めるのか。
それを決める権利は、いったい誰にあるのでしょうか。
(by 心如)
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