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25%削減する話はどうなったのか…!? [政治]

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『日本を愛すればこそ、警鐘を鳴らす」―論戦2010
(櫻井よしこ/ダイヤモンド社)
2010年6月17日 第1刷発行

 第一章 忍び寄る周辺諸国の脅威

地球温暖化対策で
日本に欠けている視点

 麻生太郎首相は、2020年までに温室効果ガスの排出を05年比で15%削減すると決定した。省エネも、CO2削減も大いに結構だ。しかし、政府の政策は合理的なのか、国益にかない、国際社会への真の貢献につながるのか、疑問である。
 右の目標達成には約62兆円の投資が必要とされる。一方、05年時点で日本のCO2は世界全体の排出量の4.7%を占める。その15%は0.7%である。日本は62兆円の巨額を投じて世界全体のわずか0.7%を削減するわけだ。何か間違っていると思うのは私だけではあるまい。そもそも、温暖化は本当にCO2が原因なのか。疑問視する科学者もいる。
「いま何よりも必要なのは科学的な見方です」
 こう強調するのは赤祖父俊一氏である。氏はアラスカ大学地球物理学研究所所長、同大学国際北極圏研究センター所長を歴任した地球物理学の権威だ。09年7月7日、衆議院会館で行ったシンクタンク「国家基本問題研究所」主催の研究会で講演した氏が強調したのは、温暖化問題はいまや科学的知見を離れ、国際政治や各国の利害を反映した経済の問題になり果てたという点だ。有り体にいえば、プロパガンダになりつつあるというのだ。「プロパガンダと科学の戦いになると、科学は勝てないのです」と氏は嘆く。
 氏が指摘したのは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告の矛盾である。IPCCはCO2の増加が温暖化を引き起こす、2100年には地球気温は4度ないし6度上昇するなどと指摘してきたが、その予想はすでにはずれているということだ。
「CO2が今も増え続けるなか、地球気温は1998~2000年頃から今日までに約10年間、下がり続けています。海面上昇も止まっています。IPCCの予測はすでに明確に間違っているのです。私の指摘した事象には科学的データの裏づけがあります。したがってIPCCも否定することができません」
 IPCC側は気温の下降はラニーニャ現象による一時的事象などと説明しようとするが、前述のように気温降下は約10年続いていると、赤祖父氏は強調する。
「10年続いた現象は一時的な変化とは見なされません。それはまぎれもない気候変動です。IPCCの予測と正反対の気候変動について彼ら自身まったく説明できていません」
 赤祖父氏は、地球気温の研究では最も信頼されている英国イースト・アングリア大学の研究も、米国商務省の海洋気象局の観測も、日本の気象庁の観測も、いずれもすべて2000年頃からの地球気温の下降を示していると強調し、こう語った。
「これから約20~25年間、地球気温は下降を続けると思います」
 じつは、私は赤祖父氏のこうした主張に驚き、09年5月号の『文藝春秋』で詳報したのだが、再び、本稿で氏の主張を取り上げるのは、新たな驚くべき事実が明らかにされつつあるからだ。赤祖父氏が語る。
「気温とCO2の量に密接な関係があることは以前から指摘され、CO2の増加が気温の上昇をもたらすと思われてきました。ところが、南極の氷を用いたここ数年の研究で、因果関係が逆である可能性が出てきたのです。気温上昇がCO2の増加に先行するという発見です。むろん気候変動は非常に複雑で難しい問題ですから、この種の研究結果はさらなる追試と確認が必要です。そのうえで申し上げたいのは、右の研究結果が確認されれば、CO2と温暖化についての考えは根本的に変えなければならないということです」
 科学が温暖化をどこまで解明できるのかはわからないが、温暖化と言いながら、地球気温の下降現象が起きていることから目を逸らしてはならない。科学的知見が不確かないま、日本は、粛々と省エネを進めつつも、現在進行中のCO2削減の国際的取り決め、つまり、科学に名を借りた国際政治ゲームに安易に乗ってはならないであろう。むしろ、日本政府は科学的知見に基づいた代替案を提示する先頭にこそ、立つべきだ。それが国益にかない、人類に貢献する道である。

(『週刊ダイヤモンド』2009年7月18日号)
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 この原稿が書かれたのは、2009年の衆議院選挙の前です。

 このあと、民主党が選挙で圧勝し、政権交代によって、鳩山内閣が誕生しました。

鳩山由紀夫 (2).jpg

 そして、鳩山元総理は、国連に出席し、日本は1990年比で、二酸化炭素の排出量を25%も削減すると、国際的な公約をしたのです。

 05年比で15%の削減でも、約62兆円の予算が必要だという話だったのです。1990年比で25%の削減となると、190兆円の予算が必要だと聞いたような…

 そんな途方もないお金を、効果のまったく期待できない温暖化防止に使うと言っていた民主党が、たかだか10~20兆円の東日本大震災の復旧・復興費のために増税をしようとしています。

 もし、本気で1990年比で二酸化炭素の排出量を25%削減しようとしたら、190兆円も必要なのです。いったいどのくらいの増税が必要となるのか見当もつきません。

 いい加減、効果の期待できない二酸化炭素排出量の削減による温暖化防止なんて幻想からは覚醒してもらいたいと私は思いますが…

(by 心如)
 

 

日本を愛すればこそ、警鐘を鳴らす―論戦2010

日本を愛すればこそ、警鐘を鳴らす―論戦2010

  • 作者: 櫻井 よしこ
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/06/18
  • メディア: 単行本



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コメント 3

大将

政治家が普通のサラリーマンとして家計を守る事になったら
その家庭はすぐに破たんするでしょうね
by 大将 (2011-10-29 07:42) 

心如

大将さん、コメントを頂きありがとうございます
 仰る通りではないかと思います。年収400万円のサラリーマンが、年間に1000万円かかる生活を続け、総額1億円の多重債務者になっているようなものです。
 それでも、まだ貸してくれる人がいるからだ大丈夫だと言っている人たちって、死ななきゃ治らない馬鹿だと私は思います。
by 心如 (2011-10-29 10:08) 

taro-u

政治家の発言の裏には「お金」が付いてくることが多い。今回の原発事故でも何十年も放射線を出し続ける「死の灰」を処分することすら出来ないのに、除染すると言い出す。とりあえず保管する場所さえないのに、お金を使って除染作業をするのだそうだ。これに使うお金と労力は何のためになるのでしょうか?同じように温暖化問題も不思議です。温暖化によって何か私たちに不都合な問題が起きたのでしょうか?温暖化で熱帯地方の人が生きられなくなったのでしょうか?海水温が上がって温泉のようになったのでしょうか?(原発の排水で周辺の海水は温度が上がったと聞いていますが)少なくとも私には気温の上昇よりも日差しの強さ(オゾン層の破壊)のほうが何倍も気がかりです。
by taro-u (2011-10-29 14:23) 

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