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考える管である…!? [科学]

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『動的平衡』(福岡伸一/木楽舎)
2009年2月25日 初版 第1刷発行
2009年4月28日    第6刷発行

 人間は考える管である

 そもそも、私たちの遠い遠い祖先は、現在のミミズやナメクジのような存在だった。彼らの姿こそが、私たちの原型なのである。彼らはまさに一本の管。口と肛門があり、その間を中空のチューブが貫いている。
 ミミズにもわずかに目の原型のようなものがあり、進む向きがあり、土を食べる側があるので、かろうじてどちらが口で、どちらが肛門か判別できる。まだ、脳と呼ぶべき中枢の場所は定かではない。神経細胞は、消化管に沿ってそれを取り巻くように複雑なネットワークを形成しつつ分布している。
 彼らは人間の消化管と同じように、緻密な蠕動運動を行って食べ物を消化・吸収し、さまざまな反応を行い、環境に適応して生きている。
 意外なことに、脳がないとはいえ、ミミズは、あるときは葉っぱのどちら側を咥えれば巣穴に運び込むのに都合がいいのか、迷いつつ「考え」さえしているのである。
 これらの生命活動は、消化管に沿って分布する神経ネットワークによってコントロールされている。もし、彼らに「君の心はどこにあるの?」と訊ねることができ、その答えを何らかの方法で私たちが感知することができたとすれば、彼らはきっと自分の消化管を指すことだろう。
 優れた「脳」、つまり中枢神経系を持った私たちにも、消化管に沿って緻密な末梢神経系が存在している。
 そして、脳で情報伝達に関っている神経ペプチドと呼ばれるホルモンとほとんど同じものが、消化管の神経細胞でも使われていることが判明している。これらの神経ペプチドがいったいなぜこれほど多種類、大量に消化管近傍に存在するのか、そしてそれらが日々、いったい何をつかさどっているのかは未だによくわかっていないのである。
 第六感のことを英語では、ガット(gut=消化管)・フィーリングという。あるいは意志の力をガッツ(guts)と呼んだりする。「ガッツがある」と言うときのガッツである。
 私たちは、もっぱら自分の思惟は脳にあり、脳がすべてをコントロールし、あらゆるリアルな感覚とバーチャルな幻想を作り出しているように思っているけれど、それは実証されたものではない。
 消化管神経回路をリトル・ブレインと呼ぶ学者もいる。しかし、それは脳と比べても全然リトルではないほど大がかりなシステムなのだ。私たちはひょっとすると、この管で考えているのかもしれないのである。
 極言すれば、私たちは一度、かつてダーウィンがそうしたように、ミミズのあり方をじっくりと観察したほうがいい。そしてもう少し謙虚になるべきなのだ。私たちは、たとえ進化の歴史が何億年経過しようとも、中空の管でしかないのだから。
ーーー

 人間の遠い遠い祖先が、ミミズやナメクジの仲間だったなんて

 英語ではガッツ(guts)というけど、日本語でも腹が据わるとか、肝っ玉がでかいというので、消化管の近傍の末梢神経が、人間の精神活動になんらかの関わりを持つ可能性は否定できないかもしれません

 「人間は考える管である」というのは本当かもしれませんが…

 日本国の内閣総理大臣である菅氏は、自分の政権延命しか考えてないみたいですね

 どうせ考えるなら、国民のことをもうすこし考えて欲しいと思うのは、私だけしょうか。。。

(by 心如)
 

 

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

  • 作者: 福岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 木楽舎
  • 発売日: 2009/02/17
  • メディア: 単行本


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コメント 6

大将

どんな時にでも量ではないですが
飯を喰らうことができる人間は強いと思います
民主党も自民党も、ほかの党も自分の事ばかりを考えるのが忙しくて
足を引っ張ることばかりを考えていますね
今がどういう時期か、何をしなくてはいけないか
まるっきり考えるこができていない!
だからミミズの方が政治家と言う生き物よりも頭良いんでしょうね
by 大将 (2011-06-04 17:44) 

shira

 ははは、「考える管」と「考えない菅」ですか。
by shira (2011-06-04 20:48) 

心如

大将さん コメント 有り難うございます
 巨額の脱税をしておいて、まったく反省の色もなかった前総理も酷い人間でしたが、被災者や原発事故を自分の政権延命に利用するなんて… 民主党に政権交代して、政治家がいかに下劣な人間の集まりかがよくわかってきたと思います。
 この国に、未来は本当にあるのでしょうか。。。
by 心如 (2011-06-04 21:38) 

心如

shiraさん コメント 有り難うございます
 菅氏は、考えてないのではなくて、自分のことしか考えてないのだと思います。日本国の内閣総理大臣が、国家や国民のことよりも、自分の権力を維持することだけしか考えていないなんて… 「宰相不幸社会」とはよく言ったものだと思います。
by 心如 (2011-06-04 21:41) 

とりのさとZ

 福岡伸一氏の著書、ほとんど読んでいます。「動的平衡」の概念は、生物体も分子の流れそのもので数ヶ月で分子単位で入れ替わる、のだと理解していましたが・・・、氏の著作には脳の位置づけについては記述がなかったですね。
by とりのさとZ (2011-06-11 18:37) 

心如

とりのさとZさん コメント 有り難うございます
 脳に関しては、まだまだ解っていないことばかりのようです。意識とはなにか、記憶のメカニズムもよく解ってないみたいですね。人体には、60兆個の細胞があるといわれていますが、同じ遺伝子をもつ細胞が、どうして自分の役割を認識し分化できるのかすら解ってないとか…
 結局、人類は、自分達の身体のことすら解明できていないのだと思います。
by 心如 (2011-06-11 18:58) 

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